続・病気とお風呂のカンケイ

*これは、院内配布されたものを掲載しています

Vol. 002

2002.1.7発行

編集人:目々澤肇

禁無断転載

 前回、カゼなどの急性疾患とお風呂との関係について書いてみました。しかしお風呂と関係する病気はまだまだあるため、今回は続編とします。

●血圧とお風呂
 適切な温度のお風呂は、体の血管を拡げ、血圧をわずかに低下させます。したがって、ストレスがたまってイライラしているときなどにはお風呂にはいると気分がすっきりするのです。でも、熱すぎる温度のお風呂では血圧がどうなるかは保証の限りではありません。血圧が高めの方は、毎日のお風呂は「ぬるめでゆっくり」がキホンです。

●脳卒中・心筋梗塞とお風呂
 お風呂上がりに脳卒中で倒れた、というケースはSCU(脳卒中救急室)の仕事にたずさわっているとき何例も出会いました。治療を受けていない高血圧のある方だと、お風呂で起こった血圧変動と血液の凝集能の亢進(詰まりやすさが増強する)が脳梗塞を生じる原因となってしまうのでナす。同じ事が心筋梗塞でも起こるはずですが、こちらの場合は痛みがおきても服を着るぐらいのことはできてしまうため、ハダカで毛布に包まれただけで担ぎ込まれることはあまり見られないようです。

●半身浴って効果があるの?
 2年前の年末にテレビで紹介されて爆発的にひろまった「半身浴」。ウリコミは、「首までつかることにより血液の凝集能が上昇して血管が詰まりやすくなることを防ぐ、お風呂をでたあとも全身が温まって湯冷めしにくい」ということでした。しかし、不幸なことに「半身浴」という言葉だけが一人歩きし、肝心なノウハウが伝わらぬまま弊害がでてきてしまいました。おりから、インフルエンザの流行とあいまって、半身浴でカゼをこじらす患者さんが多く見られたのです。

●暖かいお風呂場で半身浴を
 半身浴は、胸から下はお湯に浸かってはいるものの、それから上はお湯の外。つまり浴室内の温度が大変重要なのです。セントラルヒーティングでお屋敷の中じゅう同じ温度であれば問題ないのですが、普通のお風呂はあまり暖房など考慮されていないのが普通です。半身浴の前提は、「浴室内を暖かくした上で」だったのです。そうでないと、すきま風で寒い浴室で、胸から上を出して半身浴していれば、上下の温度差からカゼを引き込むのはあたりまえ。半身浴をする前は、お風呂のお湯を充分に洗い場にまき、浴室内に湯気を立ちこめて温度を上げてから始めるべきだったのです。できれば、他の家族の人たちが入ったあとの状態が望ましいのです。一番風呂はあまりお奨めできません。

●肩こりさんは肩まで浸かって
 肩こりからくる頭痛に悩まされている方も多いと思います。この場合は、できれば肩まで浸かって肩や首の筋肉をゆっくり暖めていただきたいものです。こり固まった筋肉は、お風呂でゆっくり暖めることによって緊張がほぐれ、痛みがとれてきます。肩こりの人はせっかちな人が多スいようで、熱いお湯にさっと入るだけの事が多く、できればこれもぬるめのお湯にゆっくり浸かる時間と精神的余裕をとっていただきたいと思います。


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