脳梗塞は救急疾患です!

Newton Doctor「ドクターアドバイス」に記載したものを転載しました

*これは、院内配布されたものを掲載しています

Vol. 009

2002.10.16発行

編集人:目々澤肇

禁無断転載

 脳梗塞は、近年、CTやMRIなどの診断機器の普及と、有効な治療薬の開発に伴い治療成績が向上しています。しかし、一般のかたがたにはどのような症状が脳梗塞に当たるのかがまだ充分に普及しておらず、「しばらく様子を見る」ことがしばしばあり、せっかくの医療の進歩を享受できずにおられることもしばしば見受けます。

 脳卒中学会・脳卒中協会では、下記の6点を「脳梗塞につながる症状」として取り上げています。

●急に箸が使えなくなる、落とす
●言葉が上手にしゃべれない、舌がもつれる
●めまいがしたりバランスがとれない
●片側の手足がしびれる
●ものが二重に見えたりゆがんで見える
●一方の目が見えない、一側の視野が欠ける

 脳梗塞は症状がわかってから出来るだけ早期に治療すべきと考えられています。この概念を裏付けたのが、1992年の著者の論文(米国の医学雑誌"Stroke"に掲載、下図参照)です。つまり、脳血管の閉塞が起きた場合、血流再開が早ければ早いほど脳梗塞のおこる領域が小さくてすむ、という事実です。実際のヒトの場合には、症状が一度に完成する「脳塞栓」の場合は約3時間、症状がジワジワと進行してゆく「脳塞栓」の場合には約24〜48時間が積極的な治療の可能範囲と考えられています。

 米国では、脳梗塞のほか、脳出血・クモ膜下出血をあわせて「Brain Attack」と呼び、救急疾患であることをアピールしています。幸い、日本でもいくつかの病院でSCU(Stroke Care Unit)と呼ばれる脳血管障害の救急施設ができてきています。上記の症状に出会った時は、様子を見ずにすばやく対処しましょう。

米国の医学雑誌「Stroke(1992年第23巻552頁)」 に掲載された院長の論文から改変しました。15〜180分の脳血管の一時的閉塞(脳梗塞のシミュレーション)により生じる脳梗塞の大きさ(上段)を24時間永久閉塞したもの(下段)と比べました。脳血管の閉塞が180分を超えるとほとんど脳梗塞は治療が難しくなることがわかります。


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